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ナンパの果てに見えるモノ

ナンパの果てに見えるモノは天国か、はたまた…

有り難しの準々即。

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『知識なり才能なりは必ずしも最高でなくてもいい、しかし熱意だけは最高でなくてはならない。』

 

 

パナソニック株式会社(旧社名: 松下電器産業株式会社 )創業者

松下幸之助

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彼女は笑いながら言った。

 

『さっきまであんなに自信満々で強気だったのに、急に弱くなったね笑』

 

「そりゃそうだよ~笑」

 

セックスの最中なのにそんなこと微塵も感じさせない会話。

 

【楽しむ】て、こういうとこなんだろうな。

 

 

 


学園祭。

 

ナンパ師にとっては一大イベントと言っても過言ではないだろう。

 

高校卒業後は専門学校進学のため、学園祭とは縁遠い学生生活を送った。

 

学生時代に行く機会がなかった学園祭にいつかは行ってみたいと思っていたし、ナンパ師から聞く学園祭の話は俺の心をワクワクドキドキさせていた。


生まれて初めての学園祭ナンパをしてみようと思い、さくらい散策師さんとコンビナンパをしようと計画した。

 

いろんなナンパ師の学園祭ナンパブログを読み漁り、頭の中で何度もシミュレーションをし、即る気満々で意気揚々と臨むも、2バンゲで終了という結果。

※うち1つは死番。

 

学園祭の性質上、2人組の女の子が多く、コンビで声かけが基本となる。


しかし、今回の相方も俺も自由行動が多く、逆3での声かけが当たり前となっていた。

 

 

そんな中、キョロキョロしている女の子2人組を発見。

 

 

「そんなにキョロキョロして何か探してるの?」

 

『どこかにマップみたいなものがないかな、と思って』

 

「それなら、これ使って。さっき通りすがりのいい人にマップもらってたけど、言うほど使いそうにないから。」

 

『あ、ありがとうございます!てか、けっこう分厚いんですねw』

 

「おすすめの場所とかも書いてあるから、きっと役に立つはず!」

 

 

ここからたわいもない会話をし、とあるルーティーンを使い、笑わせてからのバンゲ。

 

バンゲした子は笑顔がともて可愛らしく、当時の酒井若菜に似ていた。

 

その後、その若菜子は友達子が違う男性集団に連れていかれたため、その子の後を追い、姿を消した。

 

「見た目もタイプだったし、貴重なバンゲ。アポりたいな。」

 

心でそうつぶやき、しばらく散策したのちに会場を後にした。

 

 

彼女とのメールラリーは慎重に行った。


いつも即レスをしてしまうため、相手の波長に合わせ、同じような間隔で返事をした。

 

1~2日返信がなくても、こちらから連続でのメールはしないようにした。


ストナンに出かけたり、飲みに出かけたりして、気を紛らわした。

 

 

そうすると不思議なもので若菜子からの返信は途切れることなく、お互いの好きな食べ物や趣味、生い立ちなどで話は尽きなかった。

 

頃合いを見計らい、クリスマスイベントをフックにイルミネーションデートを提案。

 

 

提案は快諾され、数日後に見に行く約束を取り付けた。

 

 

 


アポ当日。

 


待ち合わせ場所に約束時間に現れる彼女。


相変わらず、可愛らしい笑顔でこちらへやってくる。

 

 

『待たせてごめんね!』

 

「俺も今着いたところだから、大丈夫だよ。まずは寒さ対策としてアルコールを注入しにいこうか!」

 

『うん、そうしよう!』

 

 

近くのリーズナブルな居酒屋に入り、これまたたわいもない会話をした。


これまでの生い立ちや恋バナはメールと電話で話していたため、少し突っ込んだ内容を意識しつつ。

 

 

付き合った人数は約10人程度で、どれも長く続かなかったらしい。

 

多少の飽き性な性格もありつつ、それとはまた別の深い理由もあるようだった。

 

しかし、この場では暗い話はご法度と思い、スルーした。

 

 

お互いほろ酔いになったところで会計を済まし、目的のイルミネーションを見に行った。

 

イルミネーション場所に近づいたところで手繋ぎを打診。

 

 

「ここからはリア充の巣窟で人も多いから、迷子にならないように俺たちも手を繋い
リア充ごっこしよ!」

 

『えーー、なにそれ笑。』

 

「ここのイルミ、実は光から魔法成分が出てて、もうすでに若菜子ちゃんは魔法にかかってるからなぁ。今日はもう魔法のせいにしておこう!うん、そうしよう!!」

 

『私、魔法にかかってたの!?笑。まぁ、そこまで言うなら繋いであげてもいいよ笑』

 

「やったね!て、上から目線かい!笑」

 

『笑笑』

 

 

こんなやり取りでさえとても楽しかった。


周りからはまるで本物のカップルのように見えたことだろう。

 

イルミネーションは洞窟のようになっており、1往復した後にこう切り出した。

 


「あ!今日、こっそり渡そうと思っていた滅茶苦茶うまいケーキを家に忘れた...」

 

『え?そうなの?』

 

「ごめんな~。けど、どうしても食べてもらいたい。ここからそんなに遠くないから取りに帰るの付き合ってもらってもいい?取りに帰るだけの価値があるケーキだし!」

 

『う、うーん。そこまで言うのなら。』

 

「ホントごめんな。けど、絶対に後悔させないから安心して!」

 

 

彼女の手を引き、早々にイルミネーションを後にし、自宅へと向かった。

 

自宅に向かう途中、外の寒さやケーキの鮮度の重要さを力説し、早めに食べようという話に持っていった。

 

途中のコンビニでお酒を買い、自宅へと誘った。

 

自宅インするも結果から言うと、最後までは至らなかった。

 

 

セックスとかしたいと思わないし、興味もないグダをなんとか崩し、手満をし始めた。

 


しかし、急に彼女は泣き出した。

 

 

突然のことに焦り、まずは手を止めて、話を聞くことにした。


ここで居酒屋で感じた深い闇(トラウマ)をいろいろと語ってくれた。

 

 

詳しくは書けないが、初めては彼氏ではなく、かつ強引にされたこともあって、
セックスをしようとするたびにフラッシュバックし、涙が出てしまう、と。


それもあって、セックス自体を良いものと思えないからしたくないと語ってくれた。

 

 

 

 

ナンパの世界ではやはり、即や準即がデフォルトとなっており、準々即という文字を見ることはめっきり少なくなったような気がする。

 

ここでもう少し強引に押せば、彼女とはセックスできたかもしれない。

そう、彼女は押しに弱い子であった。

 

正直、俺も即や準即というものにこだわっている部分はあり、ここで即れなかったら、準々即になる。それでは意味がない、という思いも少なからずあった。

 

しかし、今の俺にはできなかった。

 

そうしてしまえば、その場は満たされるかもしれない。

 

しかし、それはただの自己満であり、本物の鬼畜になってしまう。

 

後に残るのは空虚な気持ちしかないように思えた。

 

 

多分、俺はナンパ師としては失格なのかもしれない。

 

ただ、自分のポリシーを曲げてまで即りたいとは思えないし、何よりお互い楽しくないと思う。

 

この瞬間に何か張りつめていた糸のようなものが切れる音がした。

 

 

 

【即とか準即とかに拘りすぎて、大事なものを見失っていたのかもしれない。
それに女性を心の底から楽しませて、ワクワクドキドキさせてから即るのが俺のポリ
シーだったはず。】

 

そう思わせてくれた彼女に心の奥底で深く感謝した。

 

 

「そんなことがあったなんて知らなかったよ。ごめんな。そして、ちゃんと話してく
れてありがとう!若菜子の笑顔が好きだし、これ以上泣いてる姿見たくないから、これから少しずつだけどお互いのこと理解していこう。」

 

『うん、ありがとう。』

 

「それとひとつ聞いてみたいことがあるんだけど...」

 

『何?』

 

「たくさん番号聞かれただろうに、なんで俺と会ってくれたの?」

 

『変な人だったから、記憶に残ってたんだよね笑。それと...』

 

「変な人って笑。それと...?」

 

『諦めずに何度も誘ってきてくれて、熱意みたいなものを感じたから、かな。』

 

 

 熱意、か。

 

 

彼女の口からいつの間にか見失っていた【熱意】という言葉を聞くとは思ってもみなかった。

 

 

その日はそれ以上のことはせず、終電までたわいもない話をして、笑顔で彼女を見送った。

 

 

 


鉄は熱いうちに打て。

 

 

ナンパ界隈でよく聞く言葉だ。

 

時間が空けば空くほど、女の子の気持ちは冷めてしまい、即れる可能性は低くなってしまう。

 

だからこそ、その瞬間の感情を最大限まで引き上げて、気付かぬ間に即ってしまう。

 

女の子からすれば、いつの間にか即られていた、という気持ちになるのだろう。

 

 

 

若菜子とはもう会えないかもしれない。

 

 

とてもタイプな子だっただけに悔しさが徐々にこみ上げてきた。

 

 

もっと早い段階で深い部分まで聞き出せばよかったのか。

 

自宅まで行かずにホテルに連れ出せばよかったのか。

 

他のナンパ師なら、もっと丁寧かつうまく当日に即れていたのではないか。

 

 

様々な思いが頭の中を駆け巡った。

 

自宅のベッドで横になりながら、一握の希望を込めて彼女にお礼と次回のアポ打診メールを送った。

 

返事がないとしても、女々しさがあるとしても、最後の最後まではやり切りたい。

 

その一心で送った。

 

 

返事はすぐに来た。

 

 

『こちらこそ、ありがとう!また行こうね!!』

 

 

この返事が社交辞令でないことを願いつつ、その日は眠りについた。

 

 

 

 

翌々日、改めておいしいワインを飲みに行こうという名目でアポ打診をした。

 

さらにアポの動機づけとして、【サンタさんからクリスマスプレゼント預かってて早く渡すように頼まれた】と付け加えた。

 

ここまでするのはナンパ師としては失格だろう。

 

気持ちや雰囲気で魅了するのが鉄則なはずなのに。

 

しかし、是が非でもアポりたかったし、どうにかして即りたいという気持ちが強かった。

 

 

この願いはなんとか承諾された。

 


手に入るかどうかわからないものが手に入った瞬間の喜びは何度味わっても、興奮するし、嬉しいものだ。

 

この興奮を味わいたくて、ナンパをしているのかもしれない。

 

 

 

ただ、一つ気がかりなことが。

 

 

少し前に別の女の子との準々即アポを失敗していた。

 

納涼船でバンゲした子と準々即を狙い、アポったものの見事に負けた。

 

1回目のアポの時は手つなぎまでできたものの2回目のアポでは手つなぎすらグダられる始末。

 

今振り返れば、セックスを意識しすぎて、この子とのアポを純粋に楽しめていない自分がいた。


時間が経てば経つほど、当時ほどの熱量はなくなる。

 

再度熱量を上げるところから始まるが前回のアポで出し尽くしていると、ある種のガス欠状態になる。

 

ガス欠状態でのアポほど苦しいものはない。

 

中途半端にお互いのことがわかっており、男女の関係から【友達】という男女の垣根を超えた存在になり、即りにくくなる気がする。

 

そのため、今回のアポは前回の続きを意識してもらうよう、イルミの話やその時に面白かった話を優先的に話す。

 

居酒屋滞在時間を短めにし、自宅ではなく、ホテルまたは二人きりになれる空間での時間を長くするようという意識で臨もう。

 

 

 

2回目のアポ当日。

 

待ち合わせ場所に同じタイミングで到着した。

 


「めちゃめちゃ波長が合うカップルみたいやん!」

 

『ははは笑』

 


まずは男女を意識させるための先制攻撃。

 


「早速、前におすすめしたワイン酒場に行こうか!」

 

すぐさまワイン酒場に誘った。


そして、前回の続きからというシチュエーションで会話を展開した。

 

1時間が経過しそうなタイミングで締めにアイスを食べようと話を振り、早々に会計を済ませ、コンビニへと足を運んだ。

 

彼女もこの後の展開を予見していたようで特に嫌がるそぶりも見せず、一緒に高級な雰囲気の個室へイン。


一緒にアイスを食べてる時、ふいにそっと抱き寄せる。グダはない。

 

少しして、顔をこちらに向けようとするもぷいっとそむける。

 


「またまた恥ずかしがって~」

 

『違うから笑』

 

「あ、素直になりきれない天邪鬼だったね!」

 

『そんなんじゃないよー笑』

 

 

あどける彼女に可愛らしさを感じつつ、後ろから抱いたまま一緒にテレビを見た。

 

しばらくして、また顔を向けるようなやり取りを何度かした後にキスをした。

 


【うん、今日は問題なくセックスできそうだ。】

 


そう思いつつ、彼女を寝そべらせ、その先へ進もうとしたその瞬間に彼女から思いもしなかった言葉が発せられた。

 


『タダオくん、セックスしたいだけでしょ?』


「!?」

 


その言葉に対して俺は即座に返答できなかった。

 

いや、正確には返答しなかった。

 

確かにセックスはしたかった。

 

ただ、今だからこそ、自分に嘘をつかず素直に話せる。

 

この子との会話はとても楽しく、時間があっという間だった。

 

純粋に楽しんでいる自分がいた。

 

時間にして、2.3分の沈黙だっただろうけど、とても長いものに感じられた。

 

この沈黙の間に頭をフル回転させ、発する言葉を慎重に選んだ。

 

しかし、どんなに取り繕った言葉もこの場では意味がないことを察し、自分の思いを
熱意を持ってきちんと伝えよう。

 

 

「正直、セックスしたくないとは思ってない。正直、セックスもしたいと思ってる。
ただそれ以上に一緒にイルミを見たり、ご飯を食べながら話したりしたのがとても楽しかった。
だからこそ、また会いたくて今回も誘ったし、これからもまた誘いたいと思ってる。
昼間からどこか出かけたいとも思ってるし、美味いもの巡りもしたいと思ってる。」

 

『うん。』

 

「前回セックス手前までしてるのに、それでもこうしてまた会うってことは、またそうなるだろうということもわかってたはずだし。

それに若菜子ちゃんも過去のトラウマを払拭したいって言ってたよね?その手助けをしたいとも思ってる。けど、嫌な時はちゃんと嫌と言って。」

 

『んー、嫌!』

 

「今言うんかい!笑」

 

『笑笑』

 

「とにかく今夜のことは全部俺のせいで構わないから、俺に身を委ねて。」

 

『んー...』

 

 

彼女が何か言いかけたが、これ以上言葉に意味はないと思い、これからの出来事を全て行動で示してもらおうとおもむろに再び抱きしめた。

 

彼女も今まで以上の力で抱き返してきた。

 

ここからの二人にもう言葉はいらない。

 

そのまま、なし崩し的にキスをして、お互い生まれたままの姿になった。

 

彼女の胸を触り、そのまま恥部を触った。

 

 

もう準備は整ったようだった。

 

そして、いざ行為に及ぼうとしたところ、俺の体に異変が。

 

お酒を飲みすぎたらしく、大事な息子の元気が50%しかない。

 

しかし、この雰囲気をぶち壊すわけにはいかない。

 

ヘルメットを装着し、いざ挿入してみるもの彼女の表情がぽかんとしていた。

 

 

『今、入ってるの?』

 

「う、うん。一応...」

 

 

彼女は笑いながら言った。

 

『さっきまであんなに自信満々で強気だったのに、急に弱くなったね笑』

 

「そりゃそうだよ~笑」

 

『男の人ってお酒はいるとみんなそんな感じなの?』

 

「他の男のブツはよくわからん笑」

 

『だよね笑』

 

セックスの最中なのにそんなこと微塵も感じさせない会話。

 

【楽しむ】て、こういうとこなんだろうな。

 


ここは一旦退き、彼女に再度元気にしてもらい、無事挿入に至った。

 

 

 

 

 


行為が終わり、彼女の終電もあったため、早々に帰り支度をした。


外に出ると冬の夜風が身に染みた。


しかし、ここまで心躍るアポは久しぶりだったし、準々即も達成できた。

 

 

心はとても温かかった。

 


彼女と次回の昼アポの約束をとる付け、改札まで見送った。

 


相変わらずな素敵な笑顔に癒されつつ、その場を後にした。

 

 

 

 


準々即。

 


ナンパ師から見れば、そこまで引っ張るぐらいなら、次行く方がいい。

 

そう思う人も少なからずいるだろう。

 

ただ、この子は見た目も雰囲気もタイプだったから是が非でも即りたかったし、何より俺に大切な【熱意】を思い出させてくれた。


ナンパなんてろくでもないことやめろとか言われたりもする。


けど、こんなナンパでも一瞬かも知れないが女の子を笑顔にすることもできる。

 

ナンパにしろ、仕事にしろ、熱意がなければ、相手に何を伝えたところで響かない。

 


逆に多少下手くそでも、熱意があれば、なんとかなることもある気がする。

 

 


出会いがないと嘆く前に。

 

仕事がつまらないと嘆く前に。

 

 


熱意を持って、120%の本気を出してみることをお勧めする。

 

 


自身の何かを変えれるきっかけになるかもしれない。

 

 

 

 


ナンパで人生は変わらない。

 

 

 

 

しかし、人生を変えるきっかけの一つぐらいにはなるかもしれない。

 

 

 


やはり、ナンパには夢があった。